全国展開の大手ハウスメーカーか、地元密着型の工務店か。
いま新築を検討中で、大手ハウスメーカーか工務店のどちらに頼むべきか迷っている方に向けて、私たち夫婦が工務店を選んだ結果良かった点・悪かった点についてご紹介します。
一軒家の新築を決めるまで
私たち夫婦は結婚してすぐに家を買うことに決めました。その理由は夫婦共に県外への転勤のない公務員であり、定年まで働く予定なので、どうせお金を払うなら賃貸家賃より住宅ローンの方が良いと思ったからです。老人ホームに入るまではこの家でずっと暮らすつもりです。
最初は建設前のマンションのモデルルームを見に行きました。湖のほとりに建設され、リビングからの眺めが非常に良いというところに惹かれました。毎朝起きると目の前いっぱいに広がる、太陽の光を反射しキラキラ輝く湖の景色・・・。素敵な景色から始まる朝が憧れだったんです!浴室の窓も湖に面していたんですよ。
しかし、駅まで徒歩10分強という微妙な立地。マンションの強みって、個人的には一軒家よりもアクセスが良いことと、そのために資産価値が落ちにくいことだと思うので、一軒家よりも高い金額を払って、一軒家と同じくらいの駅からの距離という点がマイナスポイントでした。景色は毎日見ていれば特別感がなくなっていくかもしれないし、より安い値段で広い面積が手に入ること、上下左右の隣人に気を遣う音問題がマンションより少ないことから、一軒家を選ぶことにしました。
大手ハウスメーカーと工務店の違い
最初にABCハウジングの住宅総合展示場を見に行き、積水ハウス・一条工務店・住友林業から間取りや見積もりの提案を受け、同時進行で土地を探し、良い土地を見つけて仮押さえもしました。一度は一条工務店に決めかけたのですが、家を既に新築した知り合いから紹介された地元の工務店に最終的に決定しました。
その中で、私の感じた大手ハウスメーカーと工務店の違いについて説明します。
コスト
耐火・耐震基準など同じ条件、同じ延床面積で見積もりを出してもらった結果、工務店が大手メーカーより100万近く安くなる結果となりました。
大手ハウスメーカーはABCハウジング等良い立地に大きくて立派なモデルハウスを沢山建て、大勢の営業マンを雇い、テレビCMも流したりしている分、コストが高くなるのは仕方がない面があります。モデルハウス来客者への様々なプレゼント(ちょっとしたものから、「無料地盤調査プレゼント」といったものまで!)は、契約しなかった人の分を契約者が結局負担していることになります。契約前のサービスが多すぎる会社はちょっと考えものです。
プランの自由度
「工務店の方がハウスメーカーよりも自由に建材や設備を決められ、オリジナリティのある家が作れる」というイメージがありますが、それは会社によります!
私たちのお願いした工務店は、ある程度決められた範囲から建材や設備を選ぶ形になっており、それ以外の商品を選ぼうとすると追加料金がかかるため、TOTOやLIXILのショールームを見に行った時には選べる範囲が狭いなと感じました。ただし、その分決められた範囲内の商品であれば通常よりも安く購入できる形となっていました。
大手ハウスメーカーも会社によってこの辺りの自由度は全然違うようです。洗面台・システムキッチン等の設備や外観デザインの選択範囲の広さは要チェックです。契約前に叶えたい希望を事前に全部書き出し、それが可能かどうか、追加料金はどのくらいかかるかの確認をした方がいいと思います。
デザインセンスと提案力
これは担当者の実力次第の部分もあると思いますが、大手ハウスメーカーの方がデザインセンスと提案力は優れていると感じました。工務店から最初に出される提案は、センスが悪いとまでは言いませんがありきたりな印象で、こちらから沢山要望を出して一緒に理想に近づけていく感じでした。
一方、大手ハウスメーカーからの提案はどれも一発目から素敵だなあと感じるものが多かったです。素敵なデザインを全部おまかせして作ってもらいたいという場合は、大手ハウスメーカーの方がいいかもしれません。
工務店に決定した決め手
最終的に決定打となったのが、地元工務店の営業さんの「うちで建てた場合と大手メーカーさんで建てた場合で、家の品質の差が100万円分も出るとは思えません。」という言葉でした。大手メーカーは営業さんの説明がとても上手くて、地元工務店で建てるより断熱性や耐震性がずっと優れているような気がしてくるのですが、たしかに本当に100万円もの品質の差が出るのか?と考え直し、地元工務店の営業さんの口は上手くないけど真摯な対応をみて、最終的にお願いすることにしました。
工務店を選んでよかった点
断熱性など品質面に全く問題がなかった。
心配していた品質面ですが、今住んでみて全く問題を感じたことはありません。以前吹雪の日に一条工務店の入居済住宅へのおうち見学に参加し、エアコンもつけず床暖房だけで薄着ですごせる暖かさに感動したのですが、うちも床暖房だけで過ごせます!正直、どこのメーカー・工務店で建てたとしても、多少の数値の差こそあれ、体感としては現代の家は昔の家よりずっと気密性が高くて快適なのは変わらない気がします。
営業さんが一級建築士の資格を持っていた。
営業担当さんに図面作成もして頂けたので、打ち合わせがスムーズでした。
「その希望が叶うかどうか次回までに建築士に確認してきます」ということがなく、打ち合わせの場ですぐ話が進んで良かったです。
工務店所属の大工さんの技術力が高かった。
大手メーカーで建てた近所の方が、「部屋の入口をアーチ状にしたかったけど、技術的に難しくて出来る大工さんがいないと断られてしまった。」と言われていました。うちはリビング階段の入口と、主寝室のアルコーブ風ベッドスペースの天井をアーチ状にしてもらいました。
こちら↓のカーテンの内側にベッドを置いているのですが、このアーチは大きく作るのが難しかったと後でお聞きしました。
希望があっても会社の技術力によってはできないことがあるので、なにかやりたいことがあれば契約前に確認しておく方がいいと思います。
費用が安くなった分、他に予算を回せた。
あとはもちろん費用が安くなったこと!その分他に希望を盛り込めました。
工務店を選んで悪かった点
提案力不足
営業さんが若い方だったからというのもあると思いますが、こちらから「こうしたい、ああしたい」と希望を出せば最大限叶えようと考えてくれるのですが、こちらが思いつかないようなプロならではの提案というものがあまりなかったです。大手メーカーのモデルハウスを沢山見学した時に「これは良い!!」と感じたものは写真にとっておいたので、室内については自分達から色々と希望を出すことが出来ました。しかし、外構については打ち合わせ終盤になり息切れ気味だったこともあり、最初に提案されたままで「それでいいです」と言ってしまったため、もっとこだわれば良かったな・・・と感じています。